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スマイルの森の衛星画像
玉造 良子
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現地まではトラックの荷台で移動 スマイルの森入り口、いつも協力してくれる村長さんと

 

 今回の旅に行く前にいろいろと思うところはあったけれど、実際に見て、聞いて、さわると、人やまわりの木や土地から本当に沢山のことを教えてもらえて、素晴らしいものだった。

 行く前には、スマイルの森というと、多年性の木々が規則的に、密集して並んでいるところを想像していた。それとそのまわりに広がる何もない砂漠を。しかし実際にはまばらに生やしてある。それにそれ以上は増やさなくていいそうだ。次の森は100km南の土地の砂漠にスマイルの森をつくるのだそう。

 帰国後、植樹に行っていない人達が聞いてくる。「木、沢山植えてきた?」と。でもこうやって植えることだけに目がいきがちだが、実際は、スマイルの森を増やす為だけに行っているわけではない。もし自分が植樹に行かなかったら、同じように考えているだろう。

 砂漠にいきなり木を植えても育つわけではなく、草方格(わらをぎゅうぎゅうとスコップで砂地にさしこんで)を作り、そこに雑草の種が根付いて草地になる。そこにポプラを植えて、防風林にする。ポプラのほかにもいろいろ植え、さらに植えたあとの手入れも必要だ。今回はポプラの剪定もした。「せんてい」なんて言ったら、「ふぅん」なんて軽く考えていたらダメだった。水を運ぶバケツリレーが辛いかな、などと考えていた自分が甘かった。はさみでチョキチョキなんて軽くはない。確かにハサミも使うが、のこぎりも使う。皆でそろって大汗かきながらの「せんてい」。


みんなで水のバケツリレー 第5回スマイル植樹隊


今回は
JBさんという会社の方、日本や大連からきた30名ほどの4050歳代の、スーパーパワフルなおじさま達と作業したからまだよかったものの、ポプラ1本剪定するのにとても大変だった。のこぎりも破壊しながら剪定していく。皆で力をあわせないと、どんどん次にはすすめない。一人でせんていしたら2時間で34本(4mくらいのポプラで)が関の山だ。

剪定以外に松の苗木を植えた。苗木を植えるのに、重たい松の苗木を両手からぶら下げて、小丘をこえ、大きな穴を掘る。みんなでバケツリレーをして水を張る。今回は大人数だからまだ楽だ、と聞かされたが、私としてはかなり大変に感じられた。そして、いつもはもっと少人数でこの広大な場所を守っているのだから、溜息がでる。


 スマイルの森のまわりには、牛や馬が食べて荒らさないように、有刺鉄線がはりめぐらされている。これがないと、またもとの砂漠に逆戻りになる。有刺鉄線も、風が吹けば、見えなくなるほど砂でうもれたり、倒れたり、とにかく植樹のメンテナンスは本当に大変だ。スマイルの森の看板も、あっという間に吹き飛ばされるので、私達が行く2日前に貼ってくれたのだそう。

こういう風に作業するだけでは、全体の植樹活動の目的がみわたせないと思う。何のため?どうして植樹するのか?砂漠化を防ぐことだけが目的ではない。木が育てばいいだけじゃない。植えたら4割しか育たない。


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大きく伸びるため、下枝の剪定 植えた松に水をやります


ここ中国の人達は、一歩自分の家のごみが、自分の敷地から風で飛んでゆけば、「自分のごみではない」という。ある時、この植樹活動を始めた時、「なんだ!日本人がきてボランティアでやっているのに、自分たち中国人が何もしていないなんて恥ずかしい!!」ということがあって、中国人の人達が力を貸してくれるようになったそう。そう、こういう、人の気持ちを動かすことが、最大の目的。もちろん、いきなり最初日本人が中国へ行って、見返りなしでボランティアで木をうえるなんて、中国の村の人達は警戒して寄ってくるはずもない。
 しかも日本人は有刺鉄線で草地を囲ってしまうから、自分たち(中国人)の牛や馬のたべる草がなくなるからと、なお譲るわけもない。しかしそんな中、話し合いに話し合いを重ねて、土地を借り、そして本当に森になって、さらには果樹木が育ち、農民に還元されると、他の村の人達も、成功した村の人が話しをしてくれることで信頼し、じゃぁ自分たちも・・・と、どんどん連鎖していく。もちろん、生やしている最中の木を根っこごと引っこ抜いて盗んでしまう人もいるが。

貧しい中で、手伝っていってくれる人達がいるからできることだってある。

 この連鎖していくことが大切で、木が育っても、それを農民が奪い合うようではダメで、皆で森を育てることが大事。スマイルの森へ行って、そこだけの木を植えるのではなく、みんなの森をみんなで協力して守っていくことが大事。

昔、砂丘だった場所で、今雑草をはやして緑地化を始めた場所は、草の本当にいい香りがする。ハーブの香りが沢山漂っている中、汗をかきながら歩いて、緑地のもう少し先の巨大な砂丘にのぼると、遠くで馬が草を食んでいるのが見える。

この砂丘を一人で見てしまったら、とても緑化するなんて勇気がもてないと思う。一人で見てしまったら、あきらめて一歩も歩み寄れない気がした。

「この砂地のこの場所に道を作るから。」と言って、本当に作ってしまった人達がいる。本当に尊敬する。こうやって、国と国はどうあれ、言葉は通じなくても、人と人が直接肩をくんで仲良くしていけば、大きなポプラが目の前にそびえたっていても、皆で汗をかき、息をきらしてもなお笑いながらむかえば、どんどんやっていけるんだ!こういう気持ちを持つことが、持たせてもらえた事が、この旅の本当に素晴らしいことだと思う。


大きく育ったポプラ これがタクシー どこまで乗っても 5元(75円)