こんにちは。JIM-NETサポーターのみなさま。

スマイルこどもクリニックの医師・加藤ユカリです。暑い日々は果物がおいしいですね。

 スマイルこどもクリニックは、横浜、浦安、で24時間365日小児急患を断らずに受け入れているクリニックです。2001年に夫の隆医師と一緒に開設しました。(松本は地域の夜間の小児救急の充実にともない2009年に閉院しました。)テレビの「情熱大陸」や連続ドラマなどでもご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 スマイル医師団は、JIM-NETとともに10回以上ヨルダンやイラク国境難民キャンプへイラク戦争で難民となったこどもたちへの医療支援に行ってまいりました。

 そもそも、JIM-NET佐藤真紀さんとの出会いはとっても不思議だったので、お話させてください。

 20046月にイラクの女医、ジャナン先生が信州大学に講演にこられ医学生さんたちに誘われて聞きに行きました。そこでは、あまりにもかわいそうな悪性腫瘍のこどもたちの写真、そしてジャナン先生は「病院には点滴の針もない、薬もない、こどもたちが次々死んでいっている。」というお話をされました。私はびっくりして、クリニックから点滴の針をもって、ジャナン先生が宿泊しているホテルにのりこみました。ジャナン先生はその何の変哲もない点滴針を見てとっても喜び、「今から私の友達のブンジローやマキたちが来るから、彼らに持っていくようにお願いするわ。」 そこへ、酩酊状態の男女数人がやってきました。ジャナン先生と二人で「この針をイラクに持っていって!」と何度言っても男女はニコニコしてダメダメと言いました。私は帰り道、激怒しながら、いただいた名刺の電話番号で佐藤真紀さんに電話したら、「点滴の針はイラクの入国のときにひっかかるんですよお。」とふわっとした声で答えました。私はこの人たちを危険な目にあわせてしまうところだったと反省しました。そして翌朝お金をかき集めて振り込みました。すると間もなく原文次郎さんからメールで「現地で200人分の抗がん剤が買えました。」とジャナン先生と薬を仕分けしている写真と領収書も送られました。そして「いただいた点滴の針も確かに届けました。」

 この人たちはタダものじゃない、と信頼して、しばらく薬代の支援をしていましたが、その半年後、スマイルの非常勤医師から「松本に海外支援をしているNGOの人たちの集まりがあるんだけど、興味あったら会いにいきませんか。」そこで会ったのは、あのときの真っ赤な顔だった佐藤真紀さんでした。井下先生も一緒でした。

 半年ぶりの因果な出会いでした。

真紀さんはJIM-NETの活動を写真でお話してくれました。その中にルウェイシッドの難民キャンプがありました。真紀さんたちはこのキャンプに図書館をつくって絵本を送っていました。私が「医師はいるの?」と聞くと、「いるけど、あんまり機能していないみたい。」「じゃあ、連れてって。」「いいよ。国連に連絡してみるよ。」

 実はその直前に国連の人が「女医にきてほしい。」と真紀さんに話していた、と後から聞きました。

 いろんな偶然が重なって、鎌田實先生やJIM-NETのみなさまとイラク国境難民キャンプやヨルダンの都市難民のところへ診療に行くようになりました。

 とくに、トリビルのノーマンズランドというイラクに接した難民キャンプは、国連も管理できず、医師もおらず、世界から見捨てられているような人たちが暮らしていましたが、何度も診療に訪れ、何度も国連にレポートを書いたり、直接お願いしたりするうちに、ヨルダンの国内で手術をしてもらえたり、病気の子を第3国に受け入れるように交渉してくれたり、医師を派遣してくれるようになりました。彼らは今北イラクの国連の管理する難民キャンプに移され、そこでは医師も常駐しているとのこと。でも、「君たちを見捨てていないよ。」と伝えたく、今度中古の救急車を寄付する予定です。

 イラクの一人一人のこどもたち・・・水頭症のコマール君、心臓病のノーラン、卵巣がんのハニーン、脊椎の病気のルーラちゃん、

爆弾で大けがを負ったハイダル、その妹の重症の心臓病のノーラ、骨のがんのアトヤフ、キャンプでいつもお手伝いしてくれたイマーちゃん・・一人ひとりの物語を、ぜひ、スマイルのHPのレポートで知ってください。

 そして、イラクのこどもたちの無邪気さ、優しさ、希望、イラクの人たちの涙がでるほどの善良さを知ってください。

そして、鎌田先生、真紀さん、スマイル医師団のメンバー、加藤たけのりくん、ようこさん、イブラヒム、・・・たくさんの人たちのイラクのこどもたちを助けたい情熱を感じていただけたら、と思います。

 バスラで8月大きなテロがありました。

イブラヒムは「悲しいよ。」と言っていました。でも「がんばって。みんな応援しているから、こどもたちを助けてね。」というと、「幸せだよ。」ととっても嬉しそうな声を聞かせてくれました。

 みなさまの「良心の連鎖」はこの悲しみを解かしつつあると思います。

 みなさまの温かい心は、この悲しみを終わらせることができるのです。

 これからもJIM-NETを応援してあげてください。

 みなさまの上に平安がありますように。