福島におけるボランティア活動 
                                      榧野睦丸



11月6日東北大震災の被災地で医療活動をサポートしているNGO団体Jim-netへスマイルより自動車を提供するためJim-netのスタッフ、榧野ヒカリと横浜より出発しました。
そして福島市でJim-netの佐藤さん、イラクより来日し日本で難民申請をしているワリードさんと合流し、翌日より行動を共にすることになりました。


ワリードさんはイラク戦争当時、NHKの現地特派員としてサマワにおける日本の自衛隊の活動を取材していましたが、戦後、政府側に協力したとみなされ、国を追われる身となりました。
日本での難民申請は非常に厳しいそうで半年になりますが、いまだ認可されません。
彼はイラクに奥さんと14才から11ヶ月まで6人の子供を残しています。
もちろん彼らは仕事も収入もないので、ワリードさんはとても心配しています。
日本で働いてわずかでも収入があると、さらに難民の認可が難しくなるので、Jim-netの佐藤さんがサポートしていますが、寄付にたよらざるを得ないのが現状です。
     
翌日、野菜などを栽培しても風評被害を受けるため、オーガニック綿花の栽培をテストケースとして栽培している農家で綿花の摘み取り作業をしました。
実際に綿製品になって検査してみなければ放射線の影響がどの程度あるのかわからない中で、県の積極的な要請もあり、リスクを覚悟の上で、綿花の栽培に取り組んでいる農家の方々の真剣な努力に感動しました。
まだ製品にはならないテスト栽培です。
ちなみにオーガニック綿花の栽培は日本で初めてだそうです。
いつかここのコットンでTシャツやジーンズが作られたら、ぜひ着てみたいと思います。


作業後、この農家で採れた有機栽培の野菜で食事をしながら、作業にかかわった20数名の方々と意見の交換をしました。
中には遠く山口県から来た方もおられて、鳥取県から来た私は3番目でした。(1番はもちろんイラクから)


3日目は朝から郡山市へ移動し、現地で放射線被害をへらすために活動している方々と一緒に公園やその周辺、保育園や学校、公共のグランドなどの放射線量を測り、それがどんな処理をなされているのかを見てまわりました。

グランド等では表土をはぎ取り、仮置き場に積み上げてブルーシートをかぶせたり、穴を掘って埋め、掘った土を表土として埋め戻したりの作業が続けられていました。
公園などでは樹木の根が張っていたりして、土木機械が入れられず、手掘りの作業でした。
しかし、土砂や伐採された草木などが仮置きされている場所の近くに住む人々からは「うちには子供もいるので、私たちにとっては、かえって集積して欲しくない」という声も聞かれました。


この後『安心安全アクションin郡山』の会議に参加しました。
会議のメンバーは主婦であったり、保育園の先生、町内会の役員、関連するNGOの方々など30名ほどで、NHKも取材に来ました。
我が子や園児、学童の安全のため、議論は非常に熱心で具体的な内容なので、遠くから来た私たちはとても口出しが出来ませんでした。
会議全体に支配していた空気は、市や県の対応にとても不満で、絶望的な意見も多く見られました。
ある市長は子供たちが遊ぶ公園の除染を申し入れに来た活動家に対して、こともあろうに自分自身の蓄積放射線の数字をあげて心配していたそうです。


↑一緒に作業するワリード

↑仮置きした表土の近くで運動する中学生

すべり台などがある公園も立ち入り禁止

私たちのように遠く離れている者たちにとっては全く思いもよらない事が被災地では日々切実な問題であり、避ける事が出来ない問題であるということを実感しました。


今回は日程が調整できず、短期に終わりましたが、放射能は短期間になくなりません。
今後も機会があったらボランティア活動に参加したいと思っています。
熱心に討論する『安心安全アクションin郡山』